「障害を能力に変える環境づくりシンポジウム」を開催することができたら楽しいだろうな
こんにちは、障害を能力に変える環境づくりプロデューサーの齊藤直です。
今日は、先日参加してみました DO-IT Japan シンポジウムの参加レポート第2弾をお届けします。
このシンポジウムを通して考えたこと
今回、DO-IT Japanシンポジウムにでて考えたことが4つあります。
1つ目は、「学び方を変えなければやっていけない現実が、今足元にある」です。
DO-IT Japan では、障害のあるスカラーをはじめとする、障害児者の学習環境の改善・向上を1つのキーワードとしていますが、「学び方って障害の有無にかかわらず変えないともう限界だよな」と、感じました。
今回のシンポジウムでは、
・文章の読み上げ
・ノートの取り方
・本を読むこと
についても、研究報告や事例報告が数多く行われていましたが、これらって、障害児者だけの問題ではなく、健常者にとっても重要な事だと思います。
例えば、僕。
僕は日々、音学習で学びを深め、マインドマップで思考をまとめ、フォトリーディングを用いて本を多読しています。
これらは全て、大人になってから、各専門のセミナー等に参加し、自分で身につけた学び方です。
僕は、これらの学び方を見につけてから、インプット力が何倍にも加速、学ぶことが本当に楽しくなりました。
大人だって、こうやって新な学び方を身につけるからこそ、学びや思考を加速できるんです。
だもん、脳が柔軟な子どもたちが、「学び方の制限」を受けている場合じゃ、ないですよね。
日本の教育環境で「学び方の制限を外すだけ」で、偏差値がぶっとぶ子ども、発明に才を見出す子どもが多発するのではないかと、僕は考えています。
2つ目は、「このペースだと、普通の天才はもちろん、今は障害者という枠の中にいる異才も、どんどん世界に取られてしまう」です。
僕は、
・異才が埋もれるのを見て見ぬふりはしたくない!
・環境を変えれば障害を能力として活用できる人材を救いたい!
という思いで、このブログを書き始めました。
そして、今回 DO-IT Japan のシンポジウムに出て、この思いは更に強くなりました。
例えば、スポーツを例にするとわかりやすいのですが、野球では、日本球界で力をつけた選手が、メジャーに移籍し、サッカーでは、Jリーグで力をつけた選手が、ヨーロッパを始め、世界の名門クラブチームへ移籍をしますよね。
あれって、いろいろな理由があるでしょうが、その理由の真ん中にある理由は、「メジャーや世界のクラブチームが、自分の価値を最大限に引き伸ばし、評価してくれるから」ですよね。
これ、教育環境も同じだと思うんです。
今の日本には、障害の有無にかかわらず、子どもたち一人ひとりの能力を最大限に引き伸ばし、それを評価するシステムがありませんよね。
そのため、このまま行くと「いいところまで来た天才・異才」は、今後どんどん海外の大学や研究所にスカウティングされてしまうと、思います。
それが悪いこととは決して思いませんが、折角なら、日本国内で、子どもたち一人ひとりの能力を最大限に伸ばし、能力を最大限の伸ばした彼ら・彼女らには、日本から、そのパフォーマンスを発揮してほしいなと思います。
3つ目は、「ハードは最大公約数、学習は最小公倍数がちょうどいい」です。
ハードについては、僕が講演等でよくお話をすることなのですが、例えば、バリアフリーな施設をつくろうとした場合、
・視覚障害者
・車椅子利用者
・聴覚障害者
・知的障害者
・精神障害者
に併せて施設をつくろうとすると、あれもこれも付いて、わけのわからない施設になり、また、施工費は莫大になります。
にも関わらず、社会は、こういう施設をつくろうとするので、仕上がった施設は、障害者からしても、健常者からしても、「異様に使いにくい施設」になっていることが、少なくありません。
そこで僕が提案しているのは、「バリアフリーは最大公約数にしましょう」ということ。
万人にとって必要なものを、あれもこれもつける「最小公倍数的思考」でつくる施設は、それをつくれる人(組織)を限定するばかりか、上記の通り、仕上がったとしても、その施設は使い勝手がいいものとは言えません。
これに対し、「最大公約数的思考」で作られた施設は、各々にとって100%いいとはいえないものの、万人が使うことができる施設で、且つ、安価にできるので、それをつくれる人(組織)を限定しません。
その為、僕は、「バリアフリーは最大公約数にしましょう」というお話しをしています。
一方、今回の DO-IT Japan シンポジウムに参加して、学習においては「最小公倍数的思考」がいいなって、思いました。
どういう意味かというと、テクノロジーがこれだけ進んだ時代、障害者も健常者も、既存の学習方法、試験方法にとらわれず、「能力の本質をしっかり引き出すことのできる学習」をしたほうがいいと思うのです。
障害者も健常者も、
・読むのが得意な人は、読む学習をすればいい
・聞くのが得意な人は、音学習をすればいい
・書くのが得意な人は、各学習をすればいい
・描写が得意な人は、絵と色で学習をすればいい
・iPadを使ったほうが学びやすい人は、iPadを使って学習をすればいい
と思うんですよね。
中邑教授もおっしゃっていたことですが、「テストに着目をするのではなく、学びの本質に着目しようよ!」ということです。
視点を学びの本質に変えると、テストの評価システムも変えなくてはいけなくなると思いますが、テストでどう評価するかは・・・教育者が必死のパッチで考えればいいことですよね。
4つ目は、「大人よ、教育よ、もっと多様性を重視しろ、アダプティブであれ!」です。
僕を含めた、日本の大人。
それから、日本の教育に携わる人間・環境は、「もっと多様性を重視し、アダプティブに思考、言動ができるようにならないと!」と、強く思いました。
第1弾レポートでもお伝えした「ダイバーシティー」という言葉ですが、この言葉は、障害者を取り巻く環境では、ここ最近、よく使われます。
ダイバーシティーとは、直訳すると「幅広く性質の異なるものが存在すること」という意味ですが、そもそも「健常者」と言われるグループに入る私達も、各々が性質の異なるもの、つまり、「異質」ですよね。
歴史を振り返るとよく分かるのですが、今日の文化・文明は、この異質と異質がぶつかり、摩擦が起きてきたからこそ、今日まで発展してきたんです。
であるならば、
・障害がある
・数が数えられない
・文章が読めない
・目が見えにくい
・理解がしにくい
という、「実はどうでもいい第一ハードル」を、いつまでも「異質」と捉えているのではなく、越えにくいハードルがあったら、そのハードルはとりあえず横にどかしておいて、まずはゴールをしてみる。
教育に言い換えると、テストは後回しにして、身につけた学力・知力で、「何ができるか」に着目し、仕事に結びつけてみる。
ということが、今求められていることだと、切に感じました。
最後に
今回、初めてこういうシンポジウムに参加しましたが、感想を一言で言うと、「想像以上に面白かった」です。
よくよく考えると、こういう「勉強会」には、これまで参加したことが無いかもしれません。
強いて言えば「学会」がそれに値するかもしれませんが、学会と今回のシンポジウムでは「発言の自由さ」が異なりました。
発言を自由に交わすことができたシンポジウムでは、「そこから生まれるもの」が沢山あったように思います。
ということで、将来は、このブログや、このブログから派生したfaecebookグループメンバーをが中心になった、「障害を能力に変える環境づくりシンポジウム」を開催することができたら楽しいだろうなと、考えました。
まずは、このブログ・facebookグループに関わるメンバーが500人になったら、リアルでみんなが集える場をつくりたいと思います!
「障害」は環境を変えると「能力」になる!
No Adaptive, No Life.
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