療養所のミスターXと6歳のサビーネちゃん
こんにちは、障害を能力に変える環境づくりプロデューサーの齊藤直です。
先日「後天性サヴァン6つの驚異的な物語」という記事を書きました。
今日は、この記事で紹介した「The Amazing Stories of 6 Sudden Savants:後天性サヴァン6つの驚異的な物語」に書かれている三人目と四人目について、ご紹介します。
三人目:療養所のミスターX
20世紀初頭、療養所に住むXと呼ばれる若い男性が居ました。
彼はとても健康に生まれ、3歳の頃には、ミュージシャンとしての才能を開花していました。
彼は語学力も堪能で、英語・ドイツ語・フランス語・ハンガリー語の4カ国語で歌を歌いこなすほどでした。
そんな彼が、ちょうど彼がピアノを習い始めた時、急性肺炎と髄膜炎を患ってしまいました。
そしてすぐに、病が彼の精神的な成長を止めてしまったのです。
彼のIQは、46程度でした。
しかしその後、病院での生活中、彼はピアノを弾き続けました。
彼の担当医は、ミュージシャンとしての才能は、彼の中に生きていることを発見。
彼は、一度しか歌を聞いてなくても、一度しか楽譜を見ていなくても、完璧に演奏ができたのです!
また彼は、どれだけ時が経過しても、以前と同じように完璧な演奏が出来ました。
しかし、彼は、自分の楽曲を作ることは全く出来ませんでした。
彼に、「制作する」という能力はかけていたようです。
彼は、ジュークボックスに入っている何百の曲を、きっと記憶だけで演奏する能力を持ち合わせているのです。
四人目:6歳のサビーネちゃん
6歳のサビーネちゃんは、とても健康で幸せな毎日を過ごしていました。
しかし、1910年、小学校に入学したばかりのサビーネちゃんは、腸チフスを患ってしまいました。
サビーネちゃんは、けいれんを起こし、意識不明の状態が続きました。
残念なことに、彼女はこの病気で、視力と聴力を奪い、その後は、いつまでも子どものような人格で、精神の成長が見られませんでした。
その後時が経ち、サビーネちゃんは、わずかに視力を戻しました。
そして、13歳になると、彼女は、突然コインやボタンに興味を持ち始めました。
サビーネちゃんは、コインを16のグループに分けて遊ぶのが好きでした。
彼女にお金の価値を教えている時、彼女の担当医は「彼女はたくさんの計算を瞬時に出来る!足し算・引き算・割り算、それにかけ算も驚くほど簡単に!」と、とても驚きました。
例えば、彼女は11から99までの数字を、瞬時に2乗することが出来ました。
「23×23は?」と尋ねると、瞬時に「529」と答える事ができたのです!
しかし、もっと驚くべき事は、「529」と答えた後のできごとです。
彼女は、2乗計算をすると同時に、その答えから彼女が特に好きな「16」という数字を用いた、別の計算式を作り出すことができたのです。
例えば、「23×23は?」と尋ねると、瞬時に「529」と答えると同時に、「529は、33×16+1からも成る」といった具合です。
また、「14×14は?」と尋ねると、瞬時に「196」と回答し、これと同時に「196は、12×16+4からも成る」といった具合です。
サビーネちゃんは、瞬時に2乗計算ができるばかりか、16を使って、2乗計算の答えに対する別の計算式を作り出すことができたのです。
今日のまとめ
既に転校してしまったのですが、僕の娘の通う小学校にも、発達障害の生徒が在籍していました。
彼は、算数の数式は書けないものの、算数の問題は「見た瞬間に答えが書ける!」という能力を持っていました。
サビーネちゃんの様な「サヴァン」と呼ばれる人々はもちろんですが、サヴァンとは呼ばれない発達障害児者も、特異的な能力は持ち合わせている人が多いのではないかと、推測します。
次回は、五人目・六人目について、ご紹介します。
*この記事は本プロジェクトのリサーチャーで「発達障害・脳性麻痺児の多動・筋緊張を改善するタッチセラピー:千葉」の鶴田里見さんがご提供下さいました。
- 鶴田里美(つるたさとみ):発達障害・脳性麻痺児の多動・筋緊張を改善するタッチセラピスト。自身で教室を開講すると共に、現在は、療育施設にて作業療法士・理学療法士・保育士・看護師にもタッチセラピー指導を行う。
「障害」は環境を変えると「能力」になる!
No Adaptive, No Life.