触覚を頼りにで生み出す彼の作品はとても正確で、目に見た写真と寸分の狂いがなく、また、どんな暗闇でも作品を作ることができたのです。
こんにちは、障害を能力に変える環境づくりプロデューサーの齊藤直です。
先日「後天性サヴァン6つの驚異的な物語」という記事を書きました。
今日は、この記事で紹介した「The Amazing Stories of 6 Sudden Savants:後天性サヴァン6つの驚異的な物語」に書かれている五人目と六人目について、ご紹介します。
五人目:過去の日付から曜日を答えることができるようになったオーランド
野球をしていたとき、ボールが頭に直撃したのち、突然過去の日付から曜日を答えることができるようになったオーランド。
彼が住んでいたヴァージニア州のお天気も、過去をさかのぼり当てることができました。
彼は、決して、カレンダーを記憶しているのではなく、アルゴリズムを理解しているわけでもありませんでした。
彼はただ、「目の前に答えが見えるようになった」と言うのです。
オーランドは、この珍しい能力以外は、他の子と変わらない人並みの男の子でした。
六人目:1つ1,000ドルの銅像を量産するアロンゾクレモンズ
アロンゾクレモンズは、とても器用な子でした。
彼は2歳の時、色とりどりの年土を使って、何時間も遊んでいました。
クレモンズが3歳の時、彼は倒れ、右脳損傷を起こし、人生が変わってしまいました。
数年間、彼は話すことも、靴のひもを結ぶことも、自分で着替えることも出来なくなりました。
そんな彼を、医者は「彼のIQは、40程度であろう」と判断しました。
しかし、そんな状況の中でも、クレモンズは粘土遊びをしているときだけは、とても生き生きとしていました。
クレモンズは、馬やイルカ、それにサイといった動物を、数秒間見ただけで、粘土を用いて、3次元レプリカをとても緻密に作ることが出来たのです。
しかも、彼は道具など使わず、自分の手だけを使ってこれらを作りました。
触覚を頼りにで生み出す彼の作品はとても正確で、目に見た写真と寸分の狂いがなく、また、どんな暗闇でも作品を作ることができたのです。
彼は静止している写真を見ることで作品作りをしていましたが、動物園や馬小屋に行き始めると、今度は、動いている動物を観察するようになり、彼の作品はとても表現が豊になり、生き生きとしてきました。
ちょうどこの頃、彼の知能は日々着実に発達してきて、短いフレーズですが、おしゃべりもできるようになりました。
また、「パワーリフティング」というスポーツの趣味も持ち、なんと、知的障害を持つ方のスポーツ競技会「スペシャルオリンピック」にも参加したのです!
その後時が経ち、クレモンズは、芸術の世界でとても有名になりました。
彼の作った銅像は、常に1つ1,000ドル程で売られています。
また彼の作品で最も有名な「Tree Frolicking Foals(三頭の子馬の戯れ)」という、等身大サイズの銅像は、さらに高値で取引されました。
芸術家が彼と同じレベルの作品を作るには、数ヶ月を必要とすると言われていますが、当の彼は、たったの15日で子馬たちを完成させるのです。
今日のまとめ
アロンゾクレモンズさんのお話しを聞いていて、初めて渡邊義紘さんにお会いした日のことを思い出しました。
アロンゾクレモンズさんや渡邊義紘さんの能力は、探せば、まだまだ世界に沢山いそうです。
僕は、このブログを通じて、まず渡邊義紘さんの「障害を能力にかえる環境づくり」をお送りさせていただきますが、今後も取材を続け、世界が驚く事例を見つけ、レポートしていきたいと思います。
*この記事は本プロジェクトのリサーチャーで「発達障害・脳性麻痺児の多動・筋緊張を改善するタッチセラピー:千葉」の鶴田里見さんがご提供下さいました。
- 鶴田里美(つるたさとみ):発達障害・脳性麻痺児の多動・筋緊張を改善するタッチセラピスト。自身で教室を開講すると共に、現在は、療育施設にて作業療法士・理学療法士・保育士・看護師にもタッチセラピー指導を行う。
「障害」は環境を変えると「能力」になる!
No Adaptive, No Life.