福森伸さんに会いにしょうぶ学園にお邪魔してきました!

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福森伸さんとしょうぶ学園のご紹介

こんにちは、障害を能力に変える環境づくりプロデューサーの齊藤直です。

去る12月4日、鹿児島県にあるしょうぶ学園に訪問、統括施設長の福森伸さんにインタビューをしてきました。

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しょうぶ学園

しょうぶ学園とは、鹿児島県鹿児島市にある、

・入所施設
・ショートステイ
・日中一時支援
・生活介護
・自立訓練

の事業を行う福祉施設です。

上記事業を行う福祉施設は、何ら珍しくないと思いますが、しょうぶ学園の取り組みは・・・

実は、他の施設とは、ひと味も二味も違うのです。

ひと味も二味もどう違うのか、以下にご紹介しますね。

学園内の見学

午前中2時間をかけて、施設内をじっくり見学させていただきました。

この日は、施設内のSギャラリーにて「高田幸恵展」が開催されていたので、まずはこちらから見学がスタート。

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こうした展示も、全て施設職員さんが手掛けるというので、圧巻です!

制作活動は5分野

しょうぶ学園では、

・木工
・陶芸
・布
・和紙・造形
・デイ・デイリー

の5分野にて、入所・通所されている皆さんが制作活動を行っています。

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こうした制作活動は、他の施設でも行われていることと思いますが、他の施設としょうぶ学園の一番の違いは、しょうぶ学園では、制作活動で作った作品が「主にはオリジナルクラフトとして」世に送り出されているということ。

ここでつくられた作品は、ギャラリー、雑貨店などで契約販売されているものもあれば、学園内のショップ、ギャラリーで購入できるものもあります。(販売はせずに「展示」されるものもあります。)

製品によっては、お客様から沢山の受注を受けるものもあるのですが、そうした製品の制作はマイペースなので、常に生産が追いつかないとのこと。

でも、しょうぶ学園はあくまで福祉施設なので、作品(製品)の生産スピードは、あくまで利用者さんの製作スピードに準じているといいます。

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こちらの方がカラカラと回している道具の中には、ある工夫がされていまして・・・
 

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中からは、角が綺麗に取れた、こんな味のあるボタンが出てきます。
 

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こちらは、文字が刻まれた「装飾トレイ」

こちらの作品は、板に文字を彫るのが好きな利用者さんの作品を、職員さんが「装飾トレイ」という商品にしたものです。
 

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園内を歩いていると、とてもかわいい軽トラを見かけます。
 

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木工、陶芸、布、和紙・造形・デイ・デイリーごとに施設が分かれています。
 

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陶芸の施設では、専用の窯もありました。
 

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布の作業を行うアトリエでは、作品(商品)が沢山生まれていました。
 

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こちらは、利用者さんがつくった「ねこちゃん」

このあとこの「ねこちゃん」がYシャツに縫い付けられて、アートなシャツになります。
 

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こちらの利用者さんが作る対策は、なんと4年がかり!

Yシャツに糸を通すはじめの1はりこそ針を使いますが、ナント、あとは指先だけで糸を編みこんでいきます。
 

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和紙・造形部門は、建物の中全てがアート
 

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施設内で使う植木鉢に装飾をするのも、和紙・造形部門の担当です。
 

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和紙・造形部門で生まれた作品の数々
 

飲食店もあります

しょうぶ学園内には、こうした制作活動を行う施設とは別途、障害者の就労先にもなっている「フードエリア」があります。

しかも、そのフードエリアは1店舗ではなく、

・パスタ&カフェOtafuku(レストラン)
・ポンピ堂(パン屋)
・凡太(そば屋)

があります。

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この日、僕は凡太(そば屋)でランチを頂きましたが、鹿児島県産の石臼挽きのそば粉を使ったおそばが、とても美味しかったです。

otto & orabu

この日は、週末にライブを控えた「otto & orabu」の練習も拝見することができました。

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「otto & orabu」といえば、広末涼子さんの「niko and」のCMで曲が使われたことでも有名です。

広末涼子さん出演の「niko and」のCMはこちらで

上記CMでも使われている曲の練習映像はこちらでご覧になれます。

ちなみに、僕が見学させていただいた練習演奏は、上記どの映像音楽よりも迫力があり、魂を奪われる思いでした。

福森伸さん / 統括施設長

今回、僕が福森さんにお会いしたいと思った理由は、

・福森さんが体育大の先輩であること
・体育大→渡米→福祉という僕と同じルートで今のお仕事をされていること

という、個人的には鳥肌が立つような一致点が、福森さんと僕の間にあったからです。(福森さんは、大学日本一に輝いた日体大のラグビー選手でした!)

この日は、

・しょうぶ学園の今日までの経緯
・他に類を見ない活動を始めたきかっけ
・施設を統括する福森イズム

について、インタビューをさせていただきました。

福森さんからは、大変興味深いお話を多角的に伺うことができましたが、とりわけ、

まっすぐ縫えないと言うのは、不揃いに縫うのが得意ということ。それはすなわち、その人らしさ。

職員がいて利用者がいるのではなく、職員と利用者が一並びなのが、しょうぶ学園。だから、しょうぶ学園では、利用者さんはもちろん、職員も各種制作活動をしている。

利用者さんも職員も、製作中隣にいる利用者さんと共に、同じ制作に励む仲間。

彼ら(障害者)の考えを尊重すること、福祉とは、彼らの思考の実現を手伝うこと、それが福祉施設に務める健常者の役割。

就労支援とは、そこで働く彼ら(障害者)の幸福感(働くこと、喜ばれること、笑顔がもらえることを喜ばしく思うこと)が大事。

自分を大切にすることが自立だと思う。これは、障害者も健常者も一緒。

自分が「楽しい」と思うことをやり続けること、ポジティブに前に進もうとしているときが幸せ。

 
という、福森イズム全開のお話が、とても印象的でした。

この日は、弾丸日帰り訪問でしたが、出来ることなら、2日も3日もかけてもっと深く味わいたいしょうぶ学園と福森さんのお話しでした。

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是非チャンスを見て、また伺わせていただきたいと思います。

 
「障害」は環境を変えると「能力」になる!
No Adaptive, No Life.

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全国民に見て欲しい映画「みんなの学校」試写会レポート

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これから先生になる人、子どもを持つ親、地域社会で暮らす人、つまり全国民に見て欲しい映画です

こんにちは、障害を能力に変える環境づくりプロデューサーの齊藤直です。

先日、「みんなの学校」の試写会に行ってきました。

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きっかけ

僕は、「みんなの学校」という映画を全く知らなかったのですが、ある日、このブログのお問い合わせフォームから、

「是非、みんなの学校をご紹介下さい。」

というご連絡を、いただきました。

ご連絡をくださったのは、みんなの学校監督の真鍋俊永さんでした。

真鍋監督からご連絡をいただいた際に、みんなの学校のホームページをご紹介いただいたので、早速拝見。

ホームページを見た瞬間に「是非見てみたい!」と思い、その後の監督とのご連絡を経て、試写会にお招きをいただきました。
 

一言でいうと

「みんなの学校」は、『不登校の生徒を0(ゼロ)に!』に取り組む、大阪に実在する大空小学校を舞台にしたドキュメンタリーです。

大空小学校では、特別支援教育の対象となる発達障害がある子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学びます。

大空小学校は、どこにでもある普通の公立小学校ですが、開校から6年間、児童と教職員だけでなく、保護者や地域の人もいっしょになって、誰もが通い続けることができる学校を作りあげてきました。

ポイントは、「どこにでもある普通の公立小学校」のドキュメンタリーということ。

特別支援学校でも特別支援学級でもない普通の公立学校が舞台なんです。

ハッキリ言って、大空小学校の取り組みには、度肝を抜かれます。
 

大空小学校とは

大空小学校とは、

・大空小学校=木村泰子校長先生

と言いたくなるほど、校長先生の指導法、リーダーシップ、カラーが120%いい方向ででている小学校だなと思いました。

映画の中で、木村泰子校長先生は、「学校は社会を学ぶところです。」とおっしゃっていました。

変わった子や障害のある子もいるところが学校「ではなく」、

・できること
・考えること
・感じること

それらが全て一人ひとり違う。

それが社会であり、それを学ぶのが学校です。

 
とおっしゃっていたのが、とても印象的です。
 

障害児がいることで

これは、日々僕の教室(僕は障害者専門の運動教室を開講しています)でもお話していることですが、

障害のある子どもが変わると、親が変わります。
親が変わると、地域が変わります。
地域が変わると、社会が変わります。
社会が変わると、世界が変わります。

「みんなの学校」の舞台となった大空小学校は、世界が変わるその一歩を教室から取り組んでいる、そんな学校でした。

学校に子どもを通わせる親は、色々なことが心配です。

また、それ以上に、障害のある子ども本人が沢山の心配を抱えています。

でもね、「受け入れる器があるとちゃんと全てがいい方向に変わる」

そんなことを教えてくれた映画が「みんなの学校」です。
 

映画「みんなの学校」のみどころ

映画のみどころについて、詳しくお話したいのは山々ですが、その気持ちをぐっとこらえ、ここでは、「みんなの学校」のみどころを5つ、ご紹介します。

・その1:人間味の塊のような木村泰子校長先生

最初から最後まで、木村泰子校長先生のお話しには、耳も感情も引き込まれっぱなしでした。

木村泰子校長先生のお話しは、そのすべてが素敵でしたが、とりわけ、校長先生としては言いたくないであろうことも、包み隠さずきっちりお話されている部分が、なんとも魅力的でした。

映画を見ていて、「木村泰子校長先生は『校長』という仕事が、神様から与えられた『役職』なんだろうな。」と、感じずにはいられませんでした。

・その2:学校の先生方

僕の知る限り、学校の先生って、先生同士、特に管理職には、言いたいことを言わない、または二重にも三重にも重ねられたオブラートに包んで、話しているという、印象があります。

しかし、大空小学校の先生方は、そのお一人おひとりが、本気でぶつかり合い、話し合い、校長先生とも真正面からぶつかっているのが、すごいなーて、素晴らしいなーって、思いました。

・その3:先生と生徒の信頼関係

「みんなの学校」は、大空小学校の1年を追いかけて描かれているのですが、季節を追うたびに、先生と生徒の信頼関係が、音を立てて強くなっていくんです。

どのシーンも見ていて自然と涙があふれてきました。

これが教育。

これが学校だよなって。

・その4:一般の生徒と障害のある生徒

当たり前ですが、大空小学校の生徒でも、言い合い、喧嘩はあります。

でもね、言い合い、喧嘩をしながら、障害のない生徒と障害のある生徒が、どんどんあるべき人間関係を築いて行くんです。

子どもの社会って、もの凄くわかりい安くて、シンプルで、自然。

こどもたちがつくる社会に、大人の僕は、学ぶことしかありませんでした。

・その5:学校に子どもを預けた親の変化

先程も書きましたが、学校に子どもを通わせる親は、心配なことが、色々あるんです。

こと、障害児の親は、山ほど心配なことがあります。

4月、張り裂けそうな気持ちで、子どもを大空小学校に預けた親御さんが、翌3月には、ものすごいイイ表情になっているんです。

是非「みんなの学校」に出てくる親御さん一人ひとりの表情を、よくご覧下さい。
 

最後に

僕は体育大学を卒業、体育と養護(保健室)の教員免許を持っています。

でも僕は、学校の先生をしていません。

なぜなら、2度(体育と養護)の教育実習を通して「学校では働きたくない」と、強く思ったからです。

上からしかモノを言わない先生の態度、お互いに言いたいことを言えない職員室の雰囲気など、その全てが嫌でした。

そんな僕が・・・

映画「みんなの学校」を見て涙を流し、教育の素晴らしさを噛み締め、

「学校で働きたい。」
「教員という仕事に就きたい!」

と強く思いました。

この映画を大学在学中に見ていたら、僕は、確実に教員という「仕事」に就いていたと思います。
 

映画「みんなの学校」は、これから先生になる人、子どもを持つ親、地域社会で暮らす人、つまり全国民に見て欲しい映画です。

是非、お近くの劇場に足を運んでみてください。

 
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【ワセダカップ】レスリングを通じて成長するダウン症・自閉症児者

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スポーツは「きっかけ」に過ぎない

こんにちは、障害を能力に変える環境づくりプロデューサーの齊藤直です。

先日、立命館大学に講義に行った時、授業を終えて研究室に戻ると、「齊藤さん、実は僕、ダウン症児のレスリングについて研究したいんです!」と言ってきた学生がいました。

その時には、「なぜダウン症児のレスリングなのか」から話を聞き、研究をするとしたら、どこをポイントにするといいかなどの話をしてきました。

ということが、つい数週間前にあったこのタイミングで、「レスリングを通じて成長するダウン症・自閉症児者」という記事を目にしました!

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ちょっと、運命を感じます。^^

もちろん、この記事のことは、立命館の学生に伝えましたよ。
 

レスリングって、スポーツが専門の僕にとっても、つい最近まで縁遠い種目だったのでした。

しかし、昨年から、息子がレスリングを始めたこともあり、今は僕にとって、非常に身近な種目なんです。

やっぱり、運命を感じます。(笑)
 

上記にご紹介した「ワセダカップ特集」の記事、是非読んでみてください。

僕がグッときた一行は、浅井監督の、

「健常者から見たら、当たり前のことかもしれませんが、きちんと座ることができるってすごいことなんです」

というコメント。

専門家がダウン症児に専門的にレスリングを教える。

でも、その目的はレスリングで世界を取ることではない!

ここ、凄く共感しました。

 
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知的発達障害児者施設のロールモデル:こころみ学園&ココ・ファーム・ワイナリー

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知的障害児者も「労働」を味わい楽しめる!

こんにちは、障害を能力に変える環境づくりプロデューサーの齊藤直です。

今日は、知的発達障害児者の障害特性を活かして、

・葡萄づくり
・しいたけ栽培
・ワインづくり

等をしている、「こころみ学園&ココ・ファーム・ワイナリー」をご紹介します。

僕は、2012年2月に同施設を訪れ、2時間かけて、じっくり園内とワイナリーの見学をさせていただきました。

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こころみ学園は、1958年に、当時中学校の特殊学級の教員をしてた川田昇さんが、生徒たちと一緒になり、栃木県足柄市の超傾斜地(平均斜度38度)を購入・開墾し、活動をスタート、その後、1969年に認可を受け社会福祉法人となりました。

同学園の特徴は、知的に障害があるから何もできないと言われ、過保護に育てられた子どもたちに、

・葡萄づくり
・しいたけ栽培

をはじめとする「労働」を与え、

・働く楽しさと
・食べる喜び
・生きる嬉しさ

を与えたことです。
 

また、1980年には、園生たちが経済的にも自立できるようにと、学園の考え方に賛同する父兄たちの出資によって、ココ・ファーム・ワイナリーを設立。

初年度には10トンの葡萄から12000本のワインを製造、12000本のワインはたちまち売り切れました。

現在、ココ・ファーム・ワイナリーのワインは、

・2000年の九州・沖縄サミットでの晩餐会
・2008年の北海道洞爺湖サミットでの総理夫人主催の夕食会

で使用されるなど、国際的にも高い評価を得ています。

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1950年当時に、知的障害児者に「労働を与える」という考え方は他に類が無かったでしょうし、その労働も、知的障害児者がやりやすい

・肉体労働
・わかりやすい作業
・ルーチンワーク

にしたことが、障害者の「障害特性」と労働の「作業特性」のマッチングを活かした”アダプティブ”な思考・行為で、本当に素晴らしいと思いました。

また、その労働から生まれたモノ(葡萄)を製品化(ワイン)し、それを市場に流通させるというのが、今日においても、まだ例の少ない、希少で価値のある取り組みだと、感銘を受けました。
 

こころみ学園の創始者川田昇さんが書かれた「山の学園はワイナリー」は、川田さんの試みと志が詰まった一冊です。

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是非お手にとって、読んでみてください。
 

ココ・ファーム・ワイナリーでは、毎年11月に収穫祭が行われていて、大変なにぎわいを見せています。

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今年こそは、僕も行きたいと思います!

 
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